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東京慈恵会医科大学
脳神経外科 血管内治療部
石橋敏寛 先生

私達が脳動脈瘤塞栓術を行う際に、ポイントになるのはマイクロカテーテルの形状(シェイピング)です。これが、理想的な形状になっていないと、コイル誘導に無理が生じ治療のリスクも高まります。現在の画像診断技術はめざましい進歩を遂げ、よりリアルな血管形状を3D画像としてモニタ上に反映することができます。その画像を詳細に検討し、カテーテル誘導時のマイクロカテーテルの先端形状を決めています。しかしながら、このモニタ内に反映されている画像から実際の形状をつける作業は、人の手を介したマニュアルな作業になっています。現状では、ここで術者の治療経験からくる想像力が加味され、細かい先端形状を決めています。3D printer を使用した脳血管モデルを使う最大の強みは、「そのままの大きさのものを、手にとって確認できる」ことにあります。やはり、いくら画像診断技術が向上したとしても、それは「モニタ内の出来事:2Dの世界」であるため、現実の大きさや角度の表現にはかないません。例えば、よく見られる内頚動脈サイフォン部の動脈瘤にしても、サイフォンの角度や動脈瘤の形状、瘤の発育している方向によって、どの動脈瘤にも同じ形状が当てはまることはありません、微妙な角度と長さの変化が、治療の成功につながっていきます。また前交通動脈瘤の塞栓術においても、微妙な先端形状が効いてくることが多々あります。 実際に私達が相手にする脳動脈瘤は7mm前後であることがほとんどです。往々にして治療経験ビギナーがマイクロカテーテルの先端形状を作成すると、大きいモニタ画面で見た印象そのままで形状をつけることが多く、実際に適合しないサイズになっていることが多々見られます。3D printer による脳血管モデルは、多くの治療経験から編み出されたマイクロカテーテルの形状を、治療経験ビギナーの術者にも作ることを可能にするとても有用なツールです。この技術が治療の安全性と確実性に繋がるものと信じています。